どんなチームか、
すぐに知りたい方へ
以前掲載していただいた
新聞記事が
とてもわかりやすいので
ご紹介いたします。
「ピーッ」。
体育館に 笛の音が響くと、
鬼ごっこをしていた子どもたちが
一斉に立ち止まり、目をつぶる。
「○○君は今どこにいる?」。
コーチの質問に子どもたちが次々と答えていく。
「NOZAWANAFC」の練習の一場面だ。
鬼から逃げながら、子どもたちは首を左右に振って
仲間の動きを確認していた。
鬼ごっこを通じ、味方と敵の位置を正確に把握する能力を鍛えている。
「ボールを扱う技術を高めるだけでは、うまくならない」
スペインで、世界最高とされる“バルサ流”の育成方法を学んできた指導者の勝山直亮さんは熱を込める。
目指しているのは、「賢さ」を重視した頭脳的なサッカー。
「世界のサッカー強豪国は、賢さのトレーニングを練習に取り入れており、頭の回転で体格差をカバーする選手が多い」。
実際、頭脳的なプレーで知られるFCバルセロナのシャビは、身長一七〇センチと小柄だが、世界有数の名選手に上り詰めた。
他にも普通のクラブにはない工夫が随所にみられる。
練習の冒頭に欧州リーグのビデオを見せて、その日の練習テーマに沿ってトップ選手の動きを確認させる。
目指すイメージを高める狙いだ。
「なぜ今のシュートはうまく決まったと思う?」。
ボールを使った実戦形式練習では、勝山さんがプレーを止めて、子どもたち「なぜ」の言葉を何度も突きつける。
ボールを受ける前の動きや位置取りが、チーム全体にどんな影響を与えるかをみんなで考える。
クラブに所属する小学六年生の○○は「ボールを受ける前の動きなど、頭を使ったサッカーは新鮮」と語る。
クラブ設立の背景には、勝山さん自身の挫折がある。
プロ選手を目指し長野市から静岡県の高校に進学した際、努力では埋められない「少年時代の経験の差」を痛感した。
だから、「本気で夢を目指す子に幼少期から良い環境を与えてやりたい」と願う。
現在の所属選手は約五十人で小学生を対象に指導している。
後発のチームのため練習場所の確保に苦労もあるが、保護者らの協力で運営している。
勝山さんは「二十年以内に世界で活躍する選手を輩出し、子どもたちに「長野でサッカーをやって良かった」と思ってもらいたいと語った。
※FCバルセロナ
1899年に設立したスペイン・カタールニャ州の都市バルセロナを本拠地とする名門サッカークラブ。
ボールの支配率を重視する攻撃的で頭脳的なパスサッカーが特徴。
「原石を採掘する石切り場」の意味を持つカンテラと呼ばれる下部組織を持っており、その育成哲学は世界で最も評価が高いとされる。
以上 中日新聞(2014年6月21日掲載)